挑戦的研究賞
挑戦的研究賞
英語名称 : Science Tokyo Challenging Research Award
概要
挑戦的研究賞は、本学の若手教員の挑戦的研究の奨励を目的として、世界最先端の研究推進、未踏の分野の開拓、萌芽的研究の革新的展開又は解決が困難とされている重要課題の追求等に果敢に挑戦している独創性豊かな新進気鋭の研究者を表彰するとともに、研究費の支援を行うものです。本賞を受賞した研究者からは、数多くの文部科学大臣表彰受賞者が生まれています。
リサーチディベロップメント機構は、挑戦的研究賞の選考を通して、本学の若手教員の研究動向を把握するとともに、必要な支援策について検討を行っています。
令和8年度の推薦について
※本賞は公募制ではありません。
※令和8年度の推薦受付は終了しました。
令和8年度の受賞者
第25回目の今回は8名の受賞が決定しました。うち3名は末松特別賞*にも選ばれました。
*挑戦的研究賞受賞者のうち特別に優れていると評価された研究者に対する、末松基金による顕彰。
| 受賞者 | 所属等 | 職名 | 研究課題名 (★は末松特別賞) |
|---|---|---|---|
| KIM BYUNGGI | 工学院 機械系 |
准教授 | マイクロ波・極超音波フォノン・光の 3 共振器系における量子変換機構の探求 |
| 高橋 明 | 物質理工学院 応用化学系 |
助教 | 水硬性を示す有機高分子の創出とその持続可能な設計 |
| 光井 雄一 | 医歯学総合研究科 免疫学分野 |
助教 | 疾患特異的リードスルー分子を介した 2 型糖尿病の疾患感受性機序の解明 |
| 松山 祐輔 | 医歯学総合研究科 歯科公衆衛生学分野 |
准教授 | 因果推論と機械学習を用いた口腔機能の効果とその異質性の解明 |
| 本田 雄士 | 総合研究院 化学生命科学研究所 |
助教 | ★抗体送達ナノ粒子を用いた新規細胞内難標的タンパク質分解アプローチの構築 |
| 金本 和也 | 総合研究院 生体材料工学研究所 |
准教授 | ★多成分環化付加反応が拓くペプチドの位置特異的機能集積法 |
| 出口 清香 | 総合研究院 難治疾患研究所 |
講師 | 流体刺激によるヒト肝細胞の脱分化制御とその機序解明 |
| 藤木 大地 | 総合研究院 AIコンピューティング研究ユニット |
准教授 | ★記憶と計算を融和する革新的エッジ向け高効率フィジカル AI 基盤 |
末松特別賞受賞者のコメント
<金本 和也 准教授>
総合研究院 生体材料工学研究所
この度は、栄誉ある東京科学大学挑戦的研究賞および末松特別賞をいただき、大変光栄に存じます。これまでの研究活動の中で貴重なご助言と刺激をいただいた先生方、研究者の皆様、ならびに研究に携わってきた学生の皆様に、心より感謝申し上げます。
ペプチドやタンパク質は、生命機能を担うだけでなく、医薬品や生体材料の基盤となる重要な分子群です。一方で、多数の反応性部位を有するため、狙った位置に複数の機能を精密に導入することは容易ではありません。私は、ペプチドのN末端など特定の位置に複数の分子を導入できる有機合成反応の開拓を目指して研究を行ってきました。本研究では、新たな挑戦として、N末端、C末端、アミノ酸側鎖といったペプチド由来の官能基から発生させた反応部位を活用し、三成分連結反応によって、三つの成分をそれぞれピンポイントで一か所に連結する方法の開拓を目指します。本手法を、低分子からペプチド、タンパク質、抗体へと展開することで、創薬・診断・生体材料研究に資する汎用性の高い分子連結技術へと発展させていきたいと考えています。
<藤木 大地 准教授>
総合研究院 AIコンピューティング研究ユニット
このたびは、栄誉ある東京科学大学挑戦的研究賞ならびに末松特別賞を賜り、誠に光栄に存じます。AIコンピューティング研究ユニットの本村真人教授をはじめ、これまでご指導・ご支援をいただきました先生方、ともに研究に取り組んでくださった学生の皆さまに、この場をお借りして心より御礼申し上げます。
近年、大規模AIモデルは言語や画像の処理にとどまらず、ロボットやモビリティが実世界で自律的に行動するためのフィジカルAIへと発展しつつあります。こうした実世界に埋め込まれた知能を実現するためには、限られた電力・計算資源のもとで高度な処理を継続するために、高効率な計算基盤が不可欠です。本研究では、メモリ帯域律速となりつつあるAI計算の効率化に向けて取り組んできた記憶中心型計算の知見を基盤とし、フィジカルAIに内在する「計算中心の知能」と「記憶中心の知能」を融和することで、エッジ環境に適した新しいAI基盤の構築を目指します。将来的には、高効率なエッジAI基盤の実現を通じて、ロボットやモビリティが人間と協調しながら柔軟かつ自律的に働く社会の実現に貢献したいと考えています。
授賞式
授賞式は2026年10月1日に開催する予定です。
<本田 雄士 助教>
総合研究院 化学生命科学研究所
このたびは、栄誉ある東京科学大学挑戦的研究賞および末松特別賞を賜り、大変光栄に存じます。西山伸宏教授(総合研究院 化学生命科学研究所)をはじめ、これまで温かくご指導いただきました先生方、共同研究者の皆さま、そしてともに研究に励んでくれた学生の皆さまに、この場を借りて心より御礼申し上げます。
がんをはじめとする難治性疾患の治療標的の多くは細胞内に存在しており、これらを「分解」するアプローチは、新たな治療法構築において非常に有望視されています。近年、標的タンパク質の分解を誘導する薬剤の研究が盛んに進められていますが、表面に結合の足がかりがない(いわゆる“ツルツルとした”)標的分子に対しては、既存の技術を適応することが困難でした。そのため、これらは極めて有望なターゲットでありながら、事実上、創薬標的の対象から除外されてきました。
私はこれまで、ポリフェノールと高分子を組み合わせたナノ粒子により、多様なバイオ医薬品を標的細胞内へ送達するドラッグデリバリーシステム(DDS)の開発に取り組んでまいりました。本受賞課題では、この独自のDDS技術に抗体を融合させることで、細胞内の「創薬困難な標的」の分解へと導き、次世代の医薬品開発にブレイクスルーを起こすべく、より一層研究に邁進する所存です。